


日本を感じさせる趣ある重厚な風合い
優れた耐久性と柔軟性を持つ強靭な品質
美しい景色、ただ一枚の文様…
紙はもともと麻から作られたものでした。麻紙は紙の起源なのです。紀元前に中国で始められた紙作りは、七世紀初めに日本に伝来したとされますが、古来、日本では麻を製紙原料としてきました。今日では、扱いやすさもあり、和紙の原料は、楮(コウゾ)、雁皮(ガンピ)、三椏(ミツマタ)が主流になっています。
金澤麻和紙は、河北潟干拓地農地で育んだ苧麻(チョマ)をミツマタなどと混ぜあわせ、丁寧に手で漉いて作られる和紙です。繊維が短いミツマタでは滑らかで光沢ある仕上がりとなるところに、繊維の長い麻を原料として加えることで、より繊維が絡まり合い、強靭な紙となります。麻の持つ独特の風合いが、紙に重厚感を持たせ、奔放に絡み合う繊維が、一枚一枚違った表情を持つ独特の文様を浮き上がらせます。
和紙には、木材パルプから作られる洋紙にはない、柔らかな質感があります。これに加え、金澤麻和紙は、麻の特徴を際立たせることにより、より強い、美しい模様を持つ魅力ある紙を作り上げます。美術工芸品から、日用品まで、幅広い用途にこたえられる品質を備えていると言えます。
■ 金沢工業大学産学連携室教授 : 稲垣 渉
能登の旧鹿西町には崇神天皇の皇女が真麻の上布作りの手ほどきをしたとの伝承があります。平安時代から苧麻(チョマ)が広く栽培され、江戸時代には能登上布が能登縮、安倍屋縮として全国に出荷ます。
そして、明治に入ると皇室への献上品に選ばれるなど、石川は麻織物の生産全国一を誇り、昭和三十五年には、石川県の無形文化財にも指定されました。
現在は石油製品などに押され、麻の栽培は途絶えてしまいましたが、この歴史と伝統を踏まえ、農業振興や雇用創出につなげるよう、もう一度、石川を上質の麻産地として再興するのが、当協会の願いです。
当協会の取り組みが「北國新聞」に掲載されました。一部抜粋してご紹介いたします。
かつて麻生産が盛んだった石川の産地再興を目指す「金澤麻振興協会」は4月、白山市の白山麓地域で新たに麻の栽培を始める。これまで試験栽培していた津幡町の河北潟干拓地に加え、栽培面積を計約2500平方メートルと昨年の約5倍に拡大する。協会は麻を使った特製の和紙でうちわを試作するなど商品化に向けて準備を進めており、生産量を確保し「金澤麻」のブランド化を目指す。
協会は麻栽培を通じて農業振興や雇用創出につなげようと、昨年5月に河北潟干拓地の畑約500平方メートルで苧麻の苗約100株を試験的に植え付け、栽培してきた。同8月に皮を収穫して天日干しし、金沢市の希少伝統工芸品「二俣和紙」の職人の協力で、麻とコウゾ、ミツマタを混ぜ合わせた特製の「金澤麻和紙」に仕上げた。
協会によると、麻を原材料に混ぜることで、丈夫で肌触りの良い和紙になるという。協会が金澤麻和紙を使った試作品のうちわは会員の間でも「上品で美しい」「日用品としても飾り物としても使える」と評判だったことから、会員が所有する白山麓の休耕地約2千平方メートルで新たに栽培することにした。
※記事全文はこちら「北國新聞」へ
https://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20190111105.htm